海の記憶

僕は中学の時、赤いオープンカーに男女4人で旅するのが夢だった。


高校の卒業遠足の沖縄は、

青春まで一歩足りてなかった。

たぶん太陽のせいだと思う。

もっとクラクラするような光を、

浴びせて欲しかった。


鈴木英人が描いたアルバムのジャケットのような人生。


もう今にも消えてしまいそうな記憶。

この命が尽きる時、僕が生きていたあかしなど何1つ残りはしない。


大学を卒業するとき、再び沖縄へ行く。


今度は現地で調達した女性を車に乗せて、海沿いをドライブ。同い年くらいで、米軍とのハーフ子、リスみたいで可愛かった。


赤いネイルと、シークワーサーゼリーのオレンジが、南国の果実を思わせる。


重たい夕陽が頭をぶら下げて、

抱えるかのような陽の光の夕方。


もうここへは戻れない気がした。